『諸君はつねづね、話を目で眺め、事実を耳で・・・』

<2016年8月11日(木)>
『諸君はつねづね、話を目で眺め、事実を耳で聞くという悪癖をつちかってきた』

 「春秋」(日経/16/8/11)は、共和党米大統領候補や英国のEU離脱の選択に対して、有権者の在り方を指摘する。まずは歴史家トゥキュディデスが「戦史」からの引用、「諸君はつねづね、話を目で眺め、事実を耳で聞くという悪癖をつちかってきた」。私たちは自覚しなければならない。「有権者自身、事実をつかむ力を問われてもいよう。扇動者の横行を許していたと、後世に伝わらないためにも」と。

 愚かなるものは、信じたい話を信ずる。ご都合主義だ。現実を変えていくことは難しく、何をするにもそれぞれに負担がかかる。その負担を忘れ、都合の良い話に耳を傾ける。そのたびに裏切られるのに、また扇動に乗ってしまう。反省は表向きだけ、振り返ることのないこの失敗を続ける。未来に希望を持ちたいが、私たちは過去を振り駆らねばならない。それは自分の目で確かめてきた過去だけでなく、世の人々の過去もであり、それは耳に入りやすいことではなく、辛い過去を確かめなければならない。世界には二度と起こしてはならないことが沢山ある。心地よい響きではなく、事実を掴もう。(JN)