『今、この国に認知症患者を介護する人々の思いとかけ離れた正義はあるまい』
「一人外出して列車にはねられ死亡した認知症患者の家族にJR東海が損害賠償を求めていた裁判」について、「余録」(毎日新聞/2016/3/2)は大岡越前の御裁きを思う。「今、この国に認知症患者を介護する人々の思いとかけ離れた正義はあるまい。法と人が生きる現実との落差が生む『大岡政談』があってはならぬ現代である。」
認知症の人が電車を止めてしまうということは、他人事ではない。多くの人が心配をして行かねばならないことである。今回のJR東海との裁判における最高裁の判決は、訴えられた側に立てば良かったというところであるが、では誰も責任をとらなくて良いのかと考えてしまう。高齢化社会において、これからどれだけ事件が生じてくるのか。自分は、今後、何歳まで生きるか、その際に認知症になり、どんな爺さんになり、迷惑を振りまいてしまうのであろうか。この責任は、自分でとるためには何ができるのであろうか。大岡越前に聞いてみたい。(JN)