『戦前と戦後の日本は、かなりの程度まで地続きだ』
女性の社会への進出は、戦中に大きくなった。それが戦後の男女同権に砂がって行ったと、日経「春秋」(2015/8/14付)は説明する。
「先の大戦は、日本で女性の社会進出が進む契機になった。戦中、人もモノもすべてをつぎ込む総力戦、実は目に見えない社会構造を大きく変えた。製造業の女性労働者は終戦までの14年間で5割増えた。変わったのは女性の立場だけではない。コメ増産のため、政府が小作人を大事にしたのだ。戦争を繰り返してはならない。当然の話だ。その思いが時に戦前を全否定させ、反動からか終戦前の日本を理想化する見方も生む。実際は戦前と戦後の日本は、かなりの程度まで地続きだ。戦火の中で芽吹いた男女平等は、ほんの一例だろう。白黒で明快に分ける語り口は耳に入りやすいが、歴史はもう少し丁寧にみたい。」
歴史は、突然に変わるわけではない。そこに住む者を全て者を抹殺でもしない限り、急な変革はできない。その昔のキリスト教徒の占領軍であれば、キリスト教徒以外は人に非ずと、抹殺して行ったであろうが、70年前はそうではなかった。占領軍は、予め日本の歴史・文化を分析し、占領政策を行った。民主化や農地解放は、米国占領軍が圧しつけたわけではなく、日本の中で徐々に進みつつあった。それがこの敗戦で、占領軍が入り、日本の国家主義を改革する後押しとなった。しかし、その民主主義の進歩の流れは一方的に進まず、左右にジグザグしながら進む。それでは、今の私たちの状態は、右に流れているのか、左に流れているのか、それとも流れが止まっているのか。