延びていく大名道路を支える力が人口減の国にありや

延びていく大名道路を支える力が人口減の国にありや
(日経「春秋」2015/5/10付) 悪路また悪路、「どうやら日本の旅には、水陸両用戦車が要るのではないか」と阿川弘之さん、。1958年、若き日の作家がクラウンを駆って東北地方を巡ったときのルポ「一級国道を往く」の情景。当時の道路事情はお粗末だったが、やがて高度成長期を経て、日本の道という道は飛躍的に良くなっていく。各地の高速道がこのところ、続々と開業時期を迎えている。道路公団民営化からまもなく10年。一時は建設見直し論議も盛んだったのだが最近は揺り戻し気味だ。阿川さんは苦難の旅の22年後に同じ経路を高速道でたどった。随筆でいわく「昔を思えば天狗(てんぐ)様の大名旅行である」。そのころから数えてもすでに30年以上、いま大切なのは古くなった道路の維持・改修でもあろう。新たな道づくりへの執念には感心するが、そうして延びていく大名道路を支える力が人口減の国にありや。
(JN) 住んでいた町の道が舗装されたのは、何時ごろであったろうか。舗装されるまでは、雨が降れば大変である。靴はドロドロになり、愛犬は泥まみれで飛びついてくるし、オート三輪が泥水を飛ばす。それが東京オリンピックが始まるころには、砂利が敷かれ、アスファルトやコンクリート舗装がされていった。そして、そのオリンピックとともに、都心には自動車専用道路が走り始めた。それから、地方で道路が整備されていくには時間を要したが、ハコモノ政治の中心であったのか。クルマが走っていなくともクマが走っているような道もできた。このコンクリート製の道は、永久的に使えるのではなく、特にこの揺れる国では、メンテナンスが大事であるようだ。このために経費が結構掛かる。それを怠ると、トンネルでは、天上が落ちてきたり、高架道路からその部分が下へ落ちたりする。派手に道を造ればそれだけ維持のことも考えねばならない。今の私たちには今が大事なのであるが、今の子供たちの20年、30年、40年、50年後も考えて行かねばならない。四季を楽しみ、過去を直ぐ忘れてしまう我が日本に住む者には難しい課題であるが、この現状でもわかるはずであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86591490Q5A510C1MM8000/