(日経「春秋」2014/6/14付) 英BBCが2010年から断続的に放映しているドラマ・シリーズに「シャーロック」、舞台を21世紀に移して、新鮮な魅力を生んでいる。ホームズの相棒であるワトソンは、アフガニスタンでの戦争に軍医として参加し、体をこわした男。改めて、アフガニスタンという国の長い苦闘に気がつく。そのアフガニスタンできょう、大統領選挙の決選投票が行われる。この国の歴史のなかで画期的な出来事になる。最高指導者が初めて、民主的な手続きを経て平和的に交代するのだから。心配のタネは尽きない。原理主義的な反政府武装勢力タリバンはなお強く、テロが絶えない。最強の支援国である米国は2016年の末までに全兵力を引き揚げる。次の大統領が向き合わなければならない現実は、とてつもなく厳しいものだろう。平和と自由の国として新たな一歩を。そう願わずにいられない。
(JN) アメリカから与えられた民主主義、なかなか根付かない。日本は、平和は守られているが、未だに民主主義的な思想が定着しない。こういったものは、自発的に内部から作り上げていかねばならないし、それぞれの民主主義が異なっている。そういう意味で言うと、アメリカ的民主主義を押し付けられても、それは、それぞれの風土で消化されて、異なる民主主義を育成してくのであろうか。それよりも、アフガニスタンのリーダーたちは、自己(一部の部族及び宗教等)利益のために動いていくのか、それとも共同体的連帯精神をもって仲間の公益のために動いていくのか、それを民衆は見極めることができるのか。そして、武力での国内紛争を起こさないことである。武力内紛は国力を低下させる。日本は、西南戦争以降、大きな武力内紛を起こさず、他国の内紛により経済成長したのである。米国でも南北戦争があったが、それ以降の敵討ち武力内紛を起こさないような努力があったろう。国家間も同様に、敵討ちある限り、武力の闘いは続き、国民は疲弊する。敵討ち思想を如何に止めることができるかが、アフガニスタン他、アラブ諸国の生きる道ではないか。
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