ウナギ、絶滅に追いやる前に日本人こぞって自重するしかあるまい

(日経「春秋」2014/6/13付) 本山荻舟「飲食事典」にこんな話がある。天保年間のこと、ウナギで名高い京都・宇治の料亭にお大尽がやって来た。酒やつまみをいろいろ出すが肝心のウナギが遅い。やっと出たと思ったら細い貧弱なのが数本――。さて勘定を頼むと何十両という仰天の値である。見せられたのは店の裏の、ウナギうようよの大桶だ。当地のウナギをすべて買い取り、これから川に放生するからお代はその分も……。半可通の遊客が体よくボラれた図だが、もしかしたら平成の世でも、かば焼きを食べるのにそのくらいの覚悟が必要になるかもしれない。世界の科学者でつくる国際自然保護連合(IUCN)が、ニホンウナギレッドリストに加えた。すでに日本の環境省絶滅危惧種に指定しているこのまま絶滅に追いやる前に日本人こぞって自重するしかあるまい。長い目で見ればそれがかば焼きを食べつづける道だろう。資源保護という現代版の放生を施して、ウナギたちの復活を祈りたい。
(JN) ウナギは食べたいが、絶滅しては本当に食べられなくなる。その昔は、浦和当たりの沼で取れたウナギを腹いっぱいに食べたが、そういうことは、今後は、超贅沢となるのか。ウナギにはわからないことがまだあるので、その解明も含めて、保護と研究にまずは入ってもらうしかないであろう。我々市民は、従って高級食品のウナギには年に1回お会いできればよいようになるのか。また、我々を魅了する鰻屋さんが絶滅しても困るので、その保護を如何にするか。ニホンウナギ、そして今後は世界中のウナギを絶滅危惧種にさせないようにしましょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72663310T10C14A6MM8000/