人口減への危機感共有し少子化対策急げ

(日経「社説」2014/6/5付) 2013年の出生数は前年より約7千人少ない103万人弱にとどまり、過去最少を更新した。1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計である合計特殊出生率はわずかに上昇したが、1.43と依然、低水準だ。出生数と死亡数の差である自然増減はマイナス24万人と、3年連続で20万人を超えた。社会全体で人口減への危機感を共有し、少子化対策を急がなければならない。なにより大事なのは、結婚したい、子どもを持ちたいという若い世代の希望がかなうような環境を整えることだ。長年の少子化傾向を食い止めることは容易ではない。高齢者に偏りがちな社会保障の配分をどう工夫するか。財源の確保を含め、本格的に議論する時期が来ている。ここに来て、「50年後に1億人程度」という人口の目標値の議論が盛んになってきた。ただそれには、合計特殊出生率が2を超えて上昇することが前提になる。子どもを持つ持たないは個人の選択であり、望んでも授からない夫婦もいる。このまま少子化が進むと、労働力不足や国内市場の縮小などで経済活動が勢いを失い、社会保障制度の土台も揺らぎかねない。少ない人口でも社会の活力を維持する方策を考えることはもちろん大事だが、それだけでは足りない。子どもたちは、未来だ。座して人口減を待つのか。危機感を共有し、一層の対策を打ち出すのか。時間は残されていない。
(JN) 生活労働環境を整えれば、「子どもを持ちたい」という気持ちになるのであろうか。例えば、50年前、日本の人口が増加している時に、そんなに環境が良かったとは思えない。未来に夢はあったろう。国民が日本を豊かにしようと考え、一生懸命に働き、それを共有する家族を増やした。子供を育てることは、並大抵ではないが、それでも子供が二人以上家庭があった。結婚願望は、例えば、半世紀前と今ではどう違うのだろうか。一人の生活が楽しく、一つの屋根の下で他人同士が暮らすことの難しさ。そこにさらに厄介な子供が必要なのか。私たちは、なぜ結婚したり、子供が必要なのかと問われて何と答えればよいのか。その答えが共有されなければ、若者は結婚して、家族を増やすことをしないであろう。生活環境の整備も必要だが、その前に、家庭教育、社会教育及び学校教育等において、なぜ家族が必要なのか、それを若者が理解できるようにすることである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72292050V00C14A6EA1000/