「一億ヲ目標トス」

(日経「春秋」2014/6/16付) 50年後でも人口1億人――。政府が今月末にまとめる「骨太の方針」にこんな目標が盛り込まれるという。その昔、昭和16年閣議決定した人口政策確立要綱にもこうある。「昭和三十五年総人口一億ヲ目標トス」。そのために国は「産めよ殖やせよ」の一大キャンペーンを展開した。しかし、若い男性がどんどん出征していくなか、スローガン頼みでは人口増に限界があったのだ。戦中の「産めよ殖やせよ」は空振りに終わったが、皮肉にも出生数は戦後すぐに急増、ベビーブームが訪れた。昭和35年の人口は「一億ヲ目標トス」にもう一歩、実際に7年後にはそれを達成してしまう。目標をぶち上げるのもいいけれど、しなやかで、明日への希望に満ちた社会こそ子どもを増やすこと請け合いである。
(JN) 日本のこの国土の中で、全ての人々を賄って行くのに、今後、1億人という人数は適切なのであろうか。それより、国策で人の権利に係ることを目標に定めてよいのであろうか。子供を産み育てることは、生物の基本ではあるが、今の人類にはそれが当てはまるのか。大体、その人口は、今現在、この国土で生活をしている者たちを基本として考えているのであろうか。もしかすると、人類は流動的になり、同じ土地にずっと留まっているとは限らない。それに、原発で危険なこの日本に、何時まで今ここでの生活をして行けるのか。地震もあろう、火山の大爆発もあろう、仕方なく、愛する日本を出て行かねばならないかもしれない。まずは、安全な生活を営める環境が欲しいが、その予測はどうなのだろう。「原発は安全である」と続くのであろうか。それが明日への希望か。
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