日本文学がもう特殊な異国のものでない

(日経「春秋」2014/1/5付) 「日本文学がもう特殊な異国のものでなく、注釈抜きの普通の文学としてヨーロッパでも受け入れられたんじゃないか」。1968年に川端康成が日本人ではじめてノーベル文学賞をとったとき、三島由紀夫。三島自身は63年には「80人の候補のなかの絞り込まれた6人」に入っていたとスウェーデン・アカデミーが明らかにしたそうだ。三島38歳。その年、川端はまだ80人の中のひとりにすぎなかった。5年後になぜ逆転したのか。理由を知りたいが、資料は選考から50年秘されたのち公表されるという。ノーベル文学賞をとった日本人は、川端と94年の大江健三郎さんだけである。日本文学が「注釈抜きの普通の文学」とみなされているならもう少し受賞者がいていい。幾人かを思い浮かべ、そう考えたりするのである。
(JN) もしも三島由紀夫川端康成より先にノーベル賞を受賞していたら、市ヶ谷駐屯地のあの出来事は無かったであろう。三島由紀夫はもっと多くの素晴らしい作品を創ってくれただろう。文学には時間や空間を超える力があるはずだ。日本の作品がもっと世界に出て行ったであろう。そして時間や空間を超える力を明らかにしただろう。文学には国境が無い。私はその魅力に簡単に負ける。故に文学作品は買わない借りないとしてはいるが、何故か鞄の中も机の上もこれらから逃れられない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64886630V00C14A1MM8000/