組織を活性化させる才

(日経「春秋」2014/1/4付) 1円の100分の1は1銭。その10分の1は1厘、三井銀行の経営を担っていた中上川彦次郎は、お金の計算が煩雑でしょうがないため、思い切って利息に厘の単位を使うのをやめた。預金の利息は厘の位を銭に切り上げ、貸金は厘を切り捨てた。銀行には損失が出るが、厘の通貨を用意する手間が省けるなど仕事の能率が上がり、利点が大きいと考えた。中上川の経歴は多彩だ。金融の素人には銀行では当たり前になっている厘単位での預貸金の管理が、細かすぎて非効率に映ったに違いない。気づきにくい日常業務の改善点を、「外部の目」が見つけだす。中上川をスカウトしたのは三井と関係の深かった政治家、井上馨だ。西郷隆盛から「三井の番頭さん」と呼ばれてからかわれたが、組織を活性化させる才があったのかもしれない。
(JN) 日常の改善、誰にとって都合が良いか、その業界では当たり前を変えることは並大抵ではない。凡人は過去を踏襲して行くのがやっとであるのに、商売のプロの目のつけどころが違う。そういう能力の有る者を見出し活躍させる組織は長く世間の流れをつかむことができる。そういった組織にはどのような風土があるのか。縦割りで自己を守る事に専念するような組織にはない風土であろう。
http://mw.nikkei.com/tb/#!/article/DGXDZO64844440U4A100C1MM8000/