(日経「春秋」2012/12/31付) 日ごろは矢のように過ぎ去る時間が大晦日(おおみそか)にはゆっくり流れる。うれしかったこと。悲しかったこと。日付が変わる瞬間に向かって一年の思いが凝縮する。ニューヨークのカウントダウンには世界中から百万人が集まるという。どこの誰かも分からない。ただ、時が極限まで凝縮した空間では、他人との心の距離も限りなく縮まるのだと気づいた。日本では除夜の鐘が鳴り始めるころ、人々の気持ちが静かに重なり合う。いつもは満員電車で押し合う相手でも、きょうは赤の他人とは感じない。一年間おつかれさま。年が明けてしばらくすれば、そんな暦の魔法は解け、人の一体感は薄まっていく。この大晦日の時間は大切に過ごしたい。人への感謝、いたわり、許す優しさ。たんすにしまって忘れかけていた心を取り出し、きちんとたたみ直して、また元に戻す。そんな一日を送りたい。
(JN) 我々は忙しい忙しいと動き回っているが、何のためにそんなに忙しくしなければならないのか。じっくり考えて新年を考える年賀状も忙しく12月の内に出してしまう。日本人は敗戦から立ち上がるため一生懸命働き、経済成長をしてきたが、何のためだったのであろう。我々は自由で豊かな生活をしているのであろうか。日本だけでなく近隣諸国もどうであろう。懸命に発展、暴走もしている。日本と同じ挫折を体験しないようにしてもらいたい。それはともかく、まずは自分のことからじっくり時間をかけてみたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50200160R31C12A2MM8000/