無駄な公共事業のバラマキにつながる気配が拭いがたく漂う

(日経「春秋」2012/12/30付) 「地球か……。何もかもみな懐かしい」。イスカンダル星との往復30万光年の旅から帰還してきた沖田十三艦長が感極まってつぶやく言葉だ。総選挙での自民党圧勝から2週間。年の瀬の慌ただしい首相指名に組閣、新大臣の記者会見など、あふれるニュースを眺めていると、「自民党か……。何もかもみな懐かしい」。そうはいっても、あまり露骨な巻き戻しは見られたものではない。新政権は10兆円規模の補正予算案の編成に躍起だが、無駄な公共事業のバラマキにつながる気配が拭いがたく漂う。懐かしいという形容詞は、慣れ親しむを意味する動詞「なつく」から生まれたという。だからもともとは「そばについていたい」「心が引かれる」「かわいい、いとしい」といったニュアンスだと辞書にある。土建国家ニッポンの復活を願う向きにとっては、懐かしくて懐かしくてたまらぬ政治の動きであるにちがいない。
(JN) そろそろ企業の利益だけを追求する発想から、何のためにモノを作るのか、哲学を持ちたい。長中期を見据えた国造りである。短期的な行動は官僚ができるが、長中期的な計画は優秀な官僚でもなかなかできない。政治家の力の見せ所のはずである。参議院選を見ての行動計画では困る。バラマキの一時凌ぎはするな。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50183330Q2A231C1MM8000/