自然はときとして暦を裏切る

(日経「春秋」2013/3/5付) 先週末からの北海道の暴風雪で9人が死亡した。山の中ではなく、普段生活している場でのできごとだ。備えがなかったわけではなかろうが、天気はときに人の考えられる範囲を超えて牙をむく。この冬は寒かった。ほぼ全国で平均気温が平年を下回り、青森の酸ケ湯で一週間前の2月26日に記録した566センチはこれまでの日本で最も深い積雪だという。「雪ちるやおどけも云へぬ信濃空」と詠んだ一茶への共感をあらたにする方も多いだろう。きょうは虫が冬ごもりからはい出してくるという二十四節気啓蟄(けいちつ)だが、自然はときとして暦を裏切る。そのことをもう忘れない。
(JN) 大自然は無常である。我々の経験を超えることが起きる。常に同じことの繰り返しとはならず、また手を変え品を変えて我々に覆いかぶさってくる。四季は巡るが同じではない。我々は忘れてはならないことは、辛いことであり、忘れてしまいたい。忘れるがゆえに生活していけるが、命取りにもなる。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52430360V00C13A3MM8000/