節義廉恥を失て、国を維持するの道決して有らず

(日経「春秋」2012/12/13付) 武士の遺訓ならまず「三本の矢」だろうか。時代が下るにつれ一武家を超えた公的性格を遺訓が持ってくるが、隣の国にはお家のことしか眼中にない遺訓がなおはびこっていた。きのうの北朝鮮弾道ミサイル発射は「故金正日総書記の遺訓」だという。故金日成主席の生誕100年でこの17日が正日氏の一周忌にあたる。威光を是が非でも高める必要に迫られたのだろう。延期だ修理だという情報の中の打ち上げには、不意打ちの快感があったか。日本でよく知られる遺訓に西郷南洲(隆盛)がある。例えば「節義廉恥を失て、国を維持するの道決して有らず、西洋各国同然なり」という。アジアも同然だろう。ただ、政治の基本は学問、軍備、農業の3つを重視することだ、とは、このままでは今の日本には通用しまい。誰の遺訓にもことさら踊らされる必要はない。
(JN) 金朝廷はいつまで王朝制度を続けるのであろうか。近隣の自由主義国や共産主義国は、他国のことに手は出せないが、この国の一般国民を助ける手立てはないのであろうか。それよりも、金日成はこのような国家を望んでいたのであろうか。嘗てのどこかの日の丸国は軍部と官僚の下で戦争に進んでしまった。今の北朝鮮もその方向性があるのか。国土が揺れに揺れている我が国は今後、このような輩を相手にするためには、政治不信から脱しなければならない。さて政治の基本はなんであろうか。節義廉恥を失ている相手にはどうすればよいのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49503160T11C12A2MM8000/