教育システムを柔軟化

  • (日経/春秋/2012/6/6付)先年亡くなった評論家の加藤周一さんは昭和の初め、小学校を5年で終えて旧制中学に入った。戦前の教育制度では、小学校や中学校の最終学年を飛ばして上に進むことができる「五修」「四修」の特例があったのだ。周囲も才能をどんどん伸ばしてやろうと考えたに違いない。もちろん今だってそういう子はいるが、どんなに勉強ができても早期卒業は認めないのが戦後教育だ。そこを改め、高校を2年か2年半で卒業できる制度を文部科学省が検討することになった。教育システムを柔軟化するのは悪くないし、金科玉条みたいな六三三制に風穴が開くかもしれない。五修で中学に進んだ加藤少年は旧制高校の入試にも四修で挑んだのだが、落ちた。芥川龍之介の小説に夢中になったからだ。そんな無駄を経験しなかったら後年の幅広い批評も生まれなかったかもしれない。特急もいいが回り道も、やはり人をつくるのだ。

=>(JN)ところてん式教育は経費的にはよろしいが、個々の子供たちのことを考えていない大量生産方式である。そろそろ、良い人材を丁寧に育て上げることができないであろうか。大学教育はそれが可能なはずである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42253990W2A600C1MM8000/