造物の妙のひとつに生き物の「擬態」がある

  • (朝日/「天声人語」/6月7日)造物の妙のひとつに生き物の「擬態(ぎたい)」がある。菊地直子容疑者(40)の逮捕にどこか重なる。人目をかいくぐって17年。「もう逃げなくてもいいと、ほっとしています」。偽名で介護員として働いていた。職場の「女子会」で飲み、自宅に知人を招くこともあったそうだ。「逃亡者」という現実は動かない。同居を始めた男から求婚されたが、本名を明かして断ったという。その代わりに婚礼服姿で記念撮影だけをして、指輪も贈られた。それにしても、ダイエット広告の「使用前」「使用後」のような手配写真と今の落差に驚く。痩せる太るは小細工不要の「変装」になる。意図した減量か、逃亡やつれかは、本人のみぞ知る、だろう。実在の人になりすます擬態で世に潜んできた。カルト教団の闇の一端を白日にさらす。せめてもの罪滅ぼしが逃亡者らを待つ。

=>(JN)正に妙である。そこに溶け込んでいたのであろう。しかし、懸賞金の力が強かったのであろうか。生物の擬態よりも資本の力は強し。
http://www.asahi.com/news/intro/TKY201206060848.html?id1=2&id2=cabcagah