柔らかい和の精神が輝く好機が2020年に来る

(日経「春秋」2013/9/10付) 外国人が日本について語るとき、わたしたちには意外な面をほめることがある。米国人の旅行客が「包む・並べる」という文化に感心していた。7年後の東京五輪で、日本はどんな素顔を世界に伝えられるだろう。高度な巨大技術の象徴だった原子力で、日本はしくじった。何かもっと細やかで、丸みを帯びた優しい価値観で、世界の人々を迎えたい。新国立競技場は、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディドさんが設計を手がける。「脱構築主義」という新しい建築の流れだそうだ。直線を組み合わせて、力と技で人間の空間を築くのではなく、ひねり、ずらし、曲げて、建物が自然環境に張りついている。その包み込むような容器にも似合う日本の本質を、これからの7年間で見つめ直したい。ドナルド・キーンさんは、日本人の美意識の特徴として「暗示または余情」「いびつさ、ないし不規則性」を挙げている。いま人類が科学文明の曲がり角にいるとすれば、柔らかい和の精神が輝く好機が2020年に来る。
(JN) 日本人はとにかく西洋に追いつけ追い越せであったので、洋風が優れていると考え勝ちである。それゆえ、日本の良いものがどんどん消えて行った。従って、特に、我々日本人と西洋人とは、右脳左脳の使い方、音の使い方、分断的思考等に違いがあるので、そこに違和感がったり、またお褒めをいただいたりする。それを前面に出して行こう。1964年はとにかく敗戦からの復興を見せたかった。今度、2020年に、私たちは何を世界に向かって発せねばならないのか。箱もの中心ではなく、日本の心を見せよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59487820Q3A910C1MM8000/