自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習

(日経「春秋」2013/10/24付) 草野心平、「日本料理は捨てる料理つまり犠牲の料理です。対照的なのが中国料理で、包容の料理なんです」。日本料理には厳選した素材のいい部分だけ使う印象があるが、それも和食、そうでないのも和食ということだろう。ユネスコが「和食」を世界の無形文化遺産に登録する見通しになった。「自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習」だそうだ。日々の暮らしそのものが遺産とは、考えてみれば大風呂敷である。高級な会席料理から居酒屋料理まで。居酒屋を経営した経験もある心平に、「料理について」という詩がある。「ゼイタクで。/且(か)つ。/ケチたるべし。/そして。/伝統。/さうして。/元来が。/愛による。/発明。」。その本質は、和食が遺産になろうがなるまいが、変わるところはなにもない。
(JN) 和食って、それはどんな料理かと問われれば、日本人同士でもすっと説明できない。それが多文化の人たちに説明などどうすればよいのか。四季折々の旬を活かした料理であろうか。それが北は北海道、南は沖縄まで様々である。そして、高級料理から家庭料理まで、日本料理などと括るのは相当な大風呂敷である。ユネスコ無形文化遺産に登録するという、その目的が世界に通じるのであろうか。自然の尊重、今の日本人の精神を体現できるのであろうか。東京に住んでいる私には理解ができない。和食という言葉にすべてを含めてよいのか。小さながらも南北に長く人口の多いこの国を簡単にまとめて欲しくない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO61547660U3A021C1MM8000/