女性の活躍には男性が変わらねば

(日経「社説」2013/8/22付) 安倍晋三首相は成長戦略の柱の一つとして、「女性の活躍」をあげた。少子高齢化が進み労働力人口の減少が懸念される日本で、経済・社会に活力をもたらすには、女性の社会進出をもっと促すことが欠かせない。その認識は正しいが、重い役割を女性だけに押しつけるわけにはいかない。社会で男女が対等かどうかの観点からみると、男女共同参画白書によると、組織の管理職に占める女性の割合は、わずか11%にとどまる。4割の米国や3割台が多い欧州各国に大きく差をつけられている。「ジェンダー・ギャップ指数」を見ても、日本は135カ国中、101位だ。中国やロシアなどの新興国だけでなく、多くの途上国にも後れを取っている。保育所の不足は今なお深刻だ大事なのは、日本の企業社会の悪弊ともいえる長時間労働を見直し、働き方の柔軟性を高める努力ではないか。そのためには、男性を含めて働き手すべてが変わらなければならない。これにより男性が育児にかかわる道も開けてくるはずだ。若い世代を中心に、育児にかかわりたいという意識を持つ人は多い。育児経験がその人の仕事の発想の幅を広げることもあるだろう。6歳未満の子どもがいる夫の家事・育児時間は1日あたり約1時間で、欧米諸国の3分の1にすぎない。この分担が少しでも増えれば、女性が働き続ける後押しになるはずだ。高齢化が進むなかで介護と仕事の両立に直面する社員は、男女を問わず、これから確実に増えていく。有給休暇の取得促進やフレックスタイムなど柔軟な働き方と組み合わせることで、働きながらの介護という新たな課題への備えにもなる。
 男性が変わらなければならない点はもう1つある。経営者や管理職の意識の問題だ。人材を育てる際に、上司は男性にだけ大事な仕事を与えたり、女性に過剰に配慮したりしていないだろうか。上司が「女性は辞める」と思っていると、それが日々の行動に反映され、結果的にその通りになる。労働力不足を女性で補う「足し算」でなく、男女が共に力を出し合い、組織の創造性を高める「かけ算」の発想が必要だ。目指すべきは、女性を特別扱いすることではない。性別に関係なく、男女ともに能力を発揮できるよう環境を整えることだ。意欲ある人がいきいきと働ける社会にどう変えていくか。たとえ小さな一歩でも、踏み出せば、やがて大きな変化になる。
(JN) 若者と女性を犠牲にし、三権を御上任せにして来た日本社会は、これからどうするかを真剣に日本人全員が考えなければならない。古ぼけてきた男どもにいつまでも日本を任しておけないであろう。膠着した日本を変えるためにも、変えなければならない。そして、それぞれの一市民は、考えるだけでなく出来ることから実行して行かねばならないであろう。家事、育児、諸々に積極的に男子力を導入し、女子力をアップさせよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58785550S3A820C1EA1000/