国力を高める(5) 多様な人材が革新と成長を生む

(日経「社説」2013/1/7付) 国籍や性別、年齢などにとらわれず、多様な人材を組織に集める「ダイバーシティー」が日本でも重視され始めている。日産自動車は社内の上位98のポストのうち48を外国人が占める。女性の視点も企業にとって貴重だ。ローソンはプライベートブランド(PB=自主企画)商品の試作品を女性社員が評価する。人口が減るなかでも労働力の減少を抑え、経済の活力を損なわないためには、女性や高齢者の就業をもっと促さねばならない。職歴や経歴の異なる人材を取り込む中途採用も多様性を高める。情報技術(IT)分野では外部から採った人材が斬新な発想で新規事業を伸ばしている例が多い。日本社会は長らく、日本人の「男性」「新卒者」で組織を固めてきた。そうした人材の自前主義は同質で硬直的な組織を生む。グローバル化や技術革新の速さについていけない。にもかかわらず、日本のダイバーシティーへの取り組みは欧米に比べ周回遅れだ。今も根強い年功制を見直し、実力主義でポストや報酬を決めることも、外部から採った人材に活躍してもらうには避けられない。日本的な人事・処遇の改革をダイバーシティー経営では迫られる。政府の後押しも要る。たとえば出産で退職した女性が就業しやすくするため、保育士の数などの国の基準を満たした認可保育所を増やす必要がある。多様な資質や能力を持った人材を社会に送りだすために、均質性を重んじすぎる学校教育のあり方を見直す必要もある。そのなかでも重要な課題は大学入試の改革だろう。1990年に始まった大学入試センター試験は、もっぱら受験知識をどれだけ身につけているかを問い、小数点刻みで受験生をふるい落とす役割を担ってきた。こうした選抜を続けていては本当に優れた能力は発掘できず、多様な人材をみすみすとり逃して「受験秀才」ばかりを社会に送り出していくことになる。センター試験の大学入学資格試験への転換や、大学ごとのもっと手間ひまをかけた選抜への改革を急がなければならない。それもダイバーシティーを実現する道筋になる。
(JN) 多様な人材を組織に集める、これは日々、当方が言い続けてきたことである。人的資本は他の資本に比べてそう簡単に移動できない。そこを工夫して行かねばならない。その一つとして提案したいのが、女性議員を増やすことである。そのためには、私たちは自分達の組織を変えていくとともに、選挙も考えたい。いつまでも、じいさんたちを選ぶのではなく、党を超えて若い女性議員を選んで行こう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50329310X00C13A1PE8000/