国力を高める(4) 国際ルール順守だけでなく創出を

(日経「社説」2013/1/6付) 日本人はルールを守るのは得意だが、全く新しいルールをつくり出すのは下手だといわれる。世界のどこかで誰かが決めた規範を真面目に守るだけでは、国際競争で優位に立ち、日本の国力を高めることはできない。国際的な技術基準や通商の約束事など、新しい枠組みを創出する力を強めたい。中途半端に大きい国内市場に目を奪われ、独自路線に傾きやすいのは日本企業の弱点だろう。携帯電話で顕在化した「ガラパゴス現象」の予備軍にならないか心配する声がある。金融の分野では、米英主導の基準を「所与の規範」として受け入れる場合が多かった。日本はリーマン・ショックの直接の震源地ではない。本来なら一歩引いた立場から、もっと果敢に世界に自己主張できたはずだ。世界に向けて発信し、影響力を高める上で欠かせないのが、迅速な意思決定だ。日本の官庁や企業に散見される国内での過剰な競争意識は、外から見ると致命的な弱点となる。組織内や業界内のライバルとの足の引っ張り合いに時間を費やし、戦略がまとまらず対外的な行動が遅れるからだ。他者の追従ではなく、自ら能動的に秩序を築く。世界に目を向け動きを加速しなければならない。
(JN) 鎖国の江戸時代から明治時代へ日本は開国されていたはずだが、未だに鎖国された「ガラパゴス」の国であったのか。日本が今後国際社会で生き抜くには、多様な社会で自分にとって都合の良いルールの土俵の上で競争ができるようにするにはどうすればよいのか。中期的には大学の教育改革である。一方的で一斉で、日本人ばかりの教室の授業で教わっていくという方法が今の日本の基本的な授業形態である。これでは国際社会でも、どこかの国が決めたルールを守る模範的な国のままである。多様な学生において、アクティブな授業を常に行い、その中で、お互いを認め合い、その中でルールを作り、そこで自由に意見交換を行い、決められた時間の中で選択を下すことができるようにした。そのためには、その環境を作る教員が身に着けるべきとがあるのであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50315860W3A100C1PE8000/