次回も名入れ作業は大ごとになりかねない

(日経「春秋」2012/12/17付) 東京の下町に「ぬしさ製作所」という漆器店がある。ここは、戦後の第2回国会以来、「氏名標」作りを一手に請け負っている。きのう当選した議員の名前も、間もなく書き入れる作業が始まる。前職の分はそのまま使えるので、新たに作るのは新人と元職のもの。実現すれば世の中が良くなるかも、と民主党に託した政権交代だったが、有権者は落第点をつけた。数多くの議席が選挙のたび、あちらへこちらへ固まりで動く。その理由がいつも敵失だけであれば、政治への失望はいよいよ深まる。自民党はよほど肝に銘じてかからないと、次回も名入れ作業は大ごとになりかねない。氏名標は国会議事堂が完成した年から、70年以上も同じ木柱が使われている。議員が引退、落選すれば名前を消し、そのあとに新たに書き込む。吉田茂池田勇人の名前の上に、連綿と続く歴史のなかに、自分たちの名前がある。
(JN) いよいよ新たなメンバーで衆議院がスタートする。自分たちが選んだ人たちかそうでないかを別として、とにかく、この氏名標に名入れされている方々、新たな期待の下で責任を全うしてもらわねばならない。特に、与党は3年前とどう違うのか楽しみである。体力を落としている日本をどうできるのか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49635230X11C12A2MM8000/