1票の積み重ねが政治の潮流を生む

(日経「社説」2012/12/16付) 衆院選の投票日を迎えた。選挙戦の現場を歩いていて、誰に投票してよいかがわからないとの声を何度も聞いた。「岡目八目で、他人の打つ手は批評が出来(でき)るが、さて自分で打って見ると、傍で見て居た様には行かないものさ」。これは勝海舟の著書の一節だ。東日本大震災を経験し、被災した人はもちろん、しなかった人も日本という国はどうあるべきかを改めて考える機会があったのではないだろうか。その思いを次代に引き継いでいくにはどうしたらよいか。選挙での意思表示はその大事な一歩だ。この傾向が加速すれば民主主義は成り立たなくなる。若い人を社会の動きにどうかかわらせるか。これは選挙以外にも通じる話だ。日本政治に詳しいコロンビア大のカーティス教授は「政治はその国を知るために開いた窓だ」という。政治に背を向けるとは、日本という国に背を向けるに等しい。過去2回の衆院選で、小さな1票も積み上がれば大きな潮流を生み出すことを知った。今回はどんな姿が現れるのか。傍観するには惜しいイベントだ。
(JN) 自分の一票がたとえ当選者の票にならなくとも、自分で考えて行く姿勢が我々日本人にはこれまでは欠けていた。投票に空気を読む必要はない。自分の考えにいちばん近い人や政党を選びだそう。大きな声に惑わされてはならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49616280W2A211C1PE8000/