『世界的な協調につながっていれば』<2020年5月23日(土)>
コロナ禍への準備ができなかったのか。『筆洗(200523)』は寺田寅彦とビル・ゲイツの思いを紹介する。先ずは寺田寅彦の『天災と国防』より。「<悪い年回りはむしろいつかは回って来るのが自然の鉄則であると覚悟を定めて、良い年回りの間に充分の用意をしておかなければならない>・・・ビル・ゲイツ氏は、・・・何年も前から、感染症による危機を予見し、財団を通じて対策に資金を投じた。世界に警告も発し、平常時に医療班や診断の技術、備蓄医薬品の充実をと訴えている。・・・ゲイツ氏は自身が発した警告が、世界的な協調につながっていれば…と悔いている。いずれ良い年回りになったときも忘れたくない思いである」。
(JN) 過去にあれだけのことがあったのに、なぜにそれを忘れてしまうのか。私たちはカッサンドラーの予言を信じることができないのか。家族や仲間や故郷の愛する人びとのためにも、もう少し賢くなれないものか。寺田寅彦が『天災と国防』で最後に言っている。「天災の起こった時に始めて大急ぎでそうした愛国心を発揮するのも結構であるが、昆虫や鳥獣でない二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露にはもう少しちがった、もう少し合理的な様式があってしかるべきではないかと思う次第である。」
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