「戦後日本のイノベーション100選」は、38件が登場している

(日経「春秋」2014/6/24付) 50代以上ならたくさんおられよう。昨今の言葉を使えば「エアそろばん」をはじき暗算をこなす子もいた。もし電卓なかりせば、あのスキルの差はわれらの人生を左右したかもしれない。いまでは100円ショップに並ぶ電卓だが、そんな感慨を抱かせるほど世に大きな影響を与えた。シャープがデビュー機を発売したのはちょうど50年前。同じ年に新幹線が開通し、こちらも社会を劇的に変えた。発明協会が選ぶ「戦後日本のイノベーション100選」の第1弾には、この2つを含めた38件が登場している。魚群探知機、内視鏡、インスタントラーメン、回転寿司、スーパーカブ、7ウォークマントヨタ生産方式コンビニエンスストアなど、リストをながめれば先人の労苦が心にしみ、戦後という時代へと想念は飛ぶ。発明協会は近年も対象に、残りを引き続き選んでいくという。電卓がどんどん小さく、薄くなってニッポンの技術進歩が驚きと共感を誘った時代をどう取り戻すか。往年のCMみたいに「答一発」というわけにはいかぬ、面倒な方程式である。
(JN) ドカンと一発というような商品を生みだすことは簡単ではない。素晴らしいものを考えようと、自己満足では、売れない。でも、この商品経済においては、思わぬものが商品となって売れて行くことがある。それは、予測ができない。誰かがそれを行うのであろう。その誰かを育てるのは、様々なところであり、どこにでもチャンスはある。そのチャンスを逃さないことなのであろう。まだまだ日本には力があるが、それを今後も育成するためには、選ばれる人を育てる場所が必要ではないか。それは、ものづくりだけではなく、政治家にも必要だ。つまらない失言やリップサービスをするような者ではなく、世界できちんと日本を説明できる人材を育てることを考えよう。エリートが必要というと、ご批判も受けるであろうが、自負心を育てることは大事ではないか。それが新たな商品にならないか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO73216320U4A620C1MM8000/