名前だけでなく、中身を変えることも忘れないでほしい

(日経「春秋」2014/1/9付) 石油から生まれたものは、私たちの暮らしを豊かで便利にしてきた。石油化学という技術だ。その言葉に代わる、もっとふさわしい言い方はないかと、業界団体が公募している。理由は新しい素材が出てきたためだ。地中のシェールガスや植物から、化学製品をつくる動きが盛んになっている。石油化学工業協会は、「石油化学」ではない言葉を企業の広報活動などに使って業界のイメージを刷新しようとしている。大学では先例がある。京都大学大阪大学は高度成長期に「石油化学科」を設けたが、組織を見直して今はない。新しいネーミングを決めるのはいいが、心配なのはこの業界の設備過剰問題だ。筋肉質になるため、やるべきことは多い。名前だけでなく、中身を変えることも忘れないでほしい。
(JN) 小泉内閣構造改革のころであろうか、規制緩和がなされて大学は改組改編を行うことがそれまでよりやりやすくなったころ、学部学科等の改組改編が活発に行われた。しかし、学部学科名称を変えることを行っていたが、中身は以前と同じ教員と同じような科目が並んでいるようなことがあった。しかも、教育の質も変わらず、構造は悪化するばかりであった。名称を変えたらその姿や構造も変わらねばならない。況してや資本主義の流通の中核である石油化学は構造が変われずして名称の変更はないであろう。というより、イメージだけを変えようとしても構造の有機的変換のないところは消えて行くのであろう。これは財界だけでなく、政界や教育界も同様に消えるべきである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65067700Z00C14A1MM8000/