この国には技術を貪欲に学び取る若者の力がある

(日経「春秋」2013/3/22付) 山梨県の特産といえば甲州ワインが有名だ。醸造技術をこの地に根づかせた人物として、高野正誠、土屋龍憲という2人がフランスへ学びに渡った。高野25歳、土屋19歳のときだった。2人の青年は高名な農学者に師事し、ブドウの栽培からワインづくりを仕込まれたという。今また若い力がワインの質を高めている。山梨大学では中小醸造会社の20〜30代社員らがワイン醸造や品質評価を学ぶ。技術を学び直すことで品質のばらつきが減り、海外での甲州ワインの評判も上がっている。環太平洋経済連携協定(TPP)に日本が加わり、農産物や加工品の国際競争が激しくなっても、この国には技術を貪欲に学び取る若者の力がある。もし関税撤廃まで何年か猶予期間ができるなら、なおさらだ。高野と土屋は約1年半で、ブドウ栽培からワイン醸造まで習得して帰国したのだから。
(JN) 日本人は自分たちの能力を信じなければならない。過信はならないが、守りに入らず、積極的に向かっていくことが必要だ。誰しも、以下の自分の状況がこれで良いと考えれば、変化に対しては抵抗するであろう。であるからこそ、多くの農業従事者は自分たちが本当に自分たちの働きにあった報酬を得ているのか考えていただきたい。TPPとともにこの産業の構造を変えたい。特に若い方々には積極的に打って出てほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53078780S3A320C1MM8000/