グリコ・森永事件が起きてから未解決のまま今年で発生30年になる

(日経「春秋」2014/1/10付) 刑法には「飲料水に関する罪」という章がある。毒物混入によって人を死なせた場合の最高刑は死刑。明治時代に刑法を定めたときから、これらのくだりはあった。不特定多数の人が使う浄水だから、毒などが投げ込まれれば被害はとめどなく広がることになる。そんな不安がこの規定を生んだに違いないが、食品でも同じような危険があるとは当時は考えつかなかったようだ。法の不備を思い知らされたのは時代がずっと下って昭和の終わりごろ、グリコ・森永事件が起きてからである。事件は未解決のまま今年で発生30年になる。これを機に流通食品毒物混入防止法なる法律ができたのはせめてもの救いだったかもしれない。アクリフーズ社の冷凍食品から農薬が検出された問題で、警察はこの法律の適用を探っているという。あの忌まわしい事件の教訓を、いま一度かみしめる時だろう。
(JN) 飲食の安全について日本人は無防備であるようだ。安全であることは当たり前で、信頼関係の中にあるので、この安全に係る経費が少なくて済み、効率的である。ここに安全確保が入り込んでくると、食費が上がることになるのであろうか。それとも生産流通に係る安全確保より、警察の力でカバーをしてもらえるか。まずはこの事件を解決してもらわねば安全は保てない。警察には全力を尽くしてもらいたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65124040Q4A110C1MM8000/