「見て見ぬふり」

  • (日経/春秋 2012/7/18付) 日本人の心にもっとも深く刻まれる「見て見ぬふり」をしたのは、歌舞伎「勧進帳」で義経、弁慶主従をあえて見逃す安宅の関守、富樫左衛門だろうか。このところの「見て見ぬふり」が意味するのは保身、なれ合い、遠慮に臆病、そして無責任というあたりだ。中学生の自殺問題で野田首相がメッセージを発し、「一番大事なのはいじめの周りにいる子です。見て見ぬふりをしないこと」と訴えた。香川照之市川中車)さんがテレビで「二つ道があったら厳しい方を選ぶ。それで少し正しい人間になれるかと」言っていた。富樫は例外、たいがいは見て見ぬふりをしない方が厳しい道である。そしてそちらが正しい。自らに日々、そう問いかけていくしかない。

=>(JN)「見て見ぬふり」、弱き者の一つの生きる道でもある。それに関わっては自分も危ない。しかし、強き者はそれでは困る。教員は強き者として、クラスや学校を導いていかねばならない。言い訳はいらない。それに弱き者でもできることはあるはずだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43856650Y2A710C1MM8000/