「被害者にも原因がある」と主張する組織ほど新しい被害者が生まれる

(日経「春秋」2014/1/25付) まだ20代の若者を羽交い締めにし、火が通って熱くなった食べものを顔に押し当てる。これが警察官の集まりでの出来事だという。静岡県警が、地位や権限を乱用したとして9人の職員を処分した。このうち2人は依願退職したという。ふだんの職場でも理不尽な命令を繰り返していたそうだ。「反応が面白かった」という動機に暗然とする。このハラスメント、性的嫌がらせに今回のような暴力、暴言。内容がさまざまなら舞台も企業、大学、家庭と幅広い。「被害者にも原因がある」と主張する組織ほど、当の被害者が異動などで姿を消しても、新しい被害者が生まれる。原因は被害者ではなく、職場自体にあるからだ。今回の件で静岡県警は加害者をきちんと処分した。企業社会では加害者をかばい事件をもみ消すよりも、膿(うみ)を出し切る方が長い目でプラス、との教訓が定着しつつある。警察こそ率先し、そういう姿勢で臨んでほしい。
(JN) 私たち生物は弱い者を排除しようにプログラムされているのか、と思う。それほど世の中ハラスメントが蔓延っている。これは単純には言えないことだが、無能なもの通しであれば、自分をより弱い者を排除していくことが自分を生存させていくためなのであろう。しかし、我々相互共存し合い余計な防御にエネルギーを使わないもの同士では、ハラスメントは自分たちの組織が強く生き抜いていくために有効ではない。弱き愚かな者が更に弱き者に嫌がらせをする。これを知っていながら見逃すことが更なるハラスメントである。組織においてはその中で力を持ってるものがこのハラスメントを無くそうと思わぬ限り、ハラスメントはなくならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65859680V20C14A1MM8000/