暮らしや産業を豊かにするため、お金を有効に使う

  • (日経/春秋 2012/7/17付) 渋沢栄一は事業家の第一歩を静岡で踏み出した。幕臣だった彼は維新後、徳川慶喜が隠退していたこの地に10カ月滞在。そのとき藩に設立を説き、自らかじ取りしたのが、商社と銀行を合わせた「静岡商法会所」という組織だった。明治政府から藩への多額の貸付金を元手に東京、大阪から肥料や米穀を仕入れ、静岡からはお茶や和紙を出荷。流通を盛んにしたうえ、商売の資金の融資もし、地域振興になかなかの貢献をしたようだ。その後の渋沢は民間資本を集めて数多くの事業を起こす。暮らしや産業を豊かにするため、お金を有効に使う。そうした気持ちが今の政権にどれだけあるだろうか。大震災の復興予算は昨年度に1兆円超が余ってしまった。「日本再生戦略」も心配だ。渋沢は語っている。明治政府から借りたお金を漫然と使っては、後で返済に困ってしまう。それでは藩が破綻するから、事業を起こし利益を生んでいこうと考えた。今の政権はお金を使うのに一生懸命。危なっかしくて見ちゃいられないと、渋沢には映ることだろう。

=>(JN)政治家は国民の側に立って配分を考えよ。役人のまとめたものに目を入れて、生きた政策にするのが政治家である。手続きや政党のことばかりでは困る。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43813080X10C12A7MM8000/