自由に開け閉めできない耳 240902

 聴力の衰えに『有明抄(240901佐賀新聞)』は思う◆目はいつでも思った時に閉じることができる。〈しかし、耳のほうは、自分では自分を閉じることができない〉。なぜだろう、と物理学者の寺田寅彦◆70歳以上の6割超は加齢による難聴がみられるとか。音は聞こえていても言葉として聞き取れない深刻な症状もある◆専門医の学会が提唱するのは「きこえ8030キャンペーン」。80歳で30デシベル、ささやき声が聞こえるくらいの聴力を保とうと。ヘッドホンで音楽を長時間聞き続ける若者も多く、難聴が進んでいる可能性も◆都合のいい話はすぐ耳に入るのに、興味のない話題はなぜか音量が下がる。ひとは勝手なものである。自由に開け閉めできないからこそ、たまには耳の痛い話も聞かねばなるまい。
 (私は)親の聴力に悩まされているうちに、今度は自分の聴力が落ちてきていることに気がついた。レコードをスピーカーから大音量で聴けなかったためヘッドホンでロックを聴いた。通学通勤でのウォークマン。いま聴力に影響しているのか。若いころは自分の未来がわからないが、老後を楽しむためには、身体のことを心配しよう。