『戦争の死者を弔うべきだったのに問題をうやむやにし』

『戦争の死者を弔うべきだったのに問題をうやむやにし』<2019年5月22日(水)>
 ゴジラはなぜ日本にばかりやってくるのか」。『筆洗』(190522)は16日に亡くなった文芸評論家の加藤典洋の言葉を紹介する。「ゴジラは、やって来るのではない。帰ってくる」。「ゴジラとは第二次世界大戦の戦争の死者たちの体現物である。・・・戦後、国立の追悼施設を創設し、戦争の死者を弔うべきだったのに問題をうやむやにした結果、戦争の死者を否定していいのか肯定していいのか分からない不気味な存在にしてしまっていないか。戦争の先兵にして犠牲者。日本の戦争の死者の両義性を理解せずしてアジアの戦争犠牲者への真の謝罪はできない。・・・信用できるゴジラが海へ去って行く」。

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 (JN) ゴジラは原爆実験が生んだ。そこに、第2次大戦の戦死者たちの思いが乗り移って、日本を襲ったのか。日本は、人の命の尊さを忘れ、対戦国の人々や自国の兵士を死に追い遣った。その怨念は大きなものであろう。ゴジラがそれを表現したのか。まだ戦後は続いている。北方から南方まで、戦死者たちの骨が残っている。早く、日本に戻して欲しい。そう思っていない遺骨もあるかもしれないが、まずはその存在を意識し、そして静かに眠れるように、我々は拝むべきであろう。