『医が存在するのは、「人の為のみ、おのれがため…」』

『医が存在するのは、「人の為のみ、おのれがために非ず…」』<2018年7月12日(木)>
 横浜市での点滴連続中毒死事件について、『筆洗』(180712)は井上ひさしさんの話を紹介する。故郷の療養所職員の時に所長から質問を受ける、「『二人の患者さんがいる。一人はボロボロの身なりで子どもを抱いている母親らしき女性。もう一人は見るからにお金持ちそうな威張り腐った態度の男性。君はどちらを先に医者へ案内しますか』−。『それは貧しい人です』。井上さん・・・返ってきたのは・・・『病気の重い方を先に案内するんだよ』。病人に貴賤貧富はなく、考えるべきは病状の重さである。比べたくもない別の話だが、その看護師は容体の悪い患者を選んでいたという。・・・医が存在するのは、「人の為のみ、おのれがために非ず…」。緒方洪庵の「扶氏医戒之略」。曲がった己のため、人の為を忘れさせたものが憎い」。
 (JN) 入院していたころを思い出すと。医者とは違い、看護師さんは天使と言うのは大げさだが、本当に、良く面倒を見てくれた。医療の対応から日々の生活まで、分け隔てなく親切に、にこやかに。なんでこんなにできるのか、それは仕事への埃であろうか。愛であろうか。とにかく、私に知っている看護師さんたちは、情熱があり、エネルギッシュである。それは90歳になろうとする伯母がそうであるし、我が大学に入学した方々も、夏期スクーリングでは、夜勤もしながら通学していた。私たちの命は、こういう方々に支えれれている。ところが、この度の事件では、看護師さんが自分のしたくないことのために人を殺すとはどういうことであろうか。このことは本当のことなのか、私には信じられない。