大事なのは名前ではなく、その人が仕事に臨む姿勢だろう。

(日経「春秋」2013/12/21付) 師走の「師」は、お坊さんのことだと習った記憶がある。師と呼ばれるのは、知識や経験を積み、人々に語りかけ、導くような職業だろう。医師、教師、牧師、占師、漫才師……。医療や宗教、芸能などの分野に多いようだ。いまは看護師が正式な名称で看護士とは書かない。わずかな語感の違いだが、同じ発音でも「士」よりも「師」の方が、どこか高級で格が上の印象になる。「士」は専門的な技能を持ち、誰かの代わりに働く仕事が多いらしい。弁護士、税理士、保育士・・・・・。とはいえ漢字1文字の違いで中身が決まるわけではない。大事なのは名前ではなく、その人が仕事に臨む姿勢だろう。タクシーの運転手や運転士ではなく、運転師と呼びたくなる人もいる。街中のあらゆる道に精通し、刻々と変わる流れを読み、無駄口をたたかず、滑らかに客を目的地に運ぶ。本物のプロは、どんな仕事の世界にもいるものだ。ことしは何人の「師」に出会えただろうか。
(JN) 「師」と「士」の違いとその使用、常に混乱している。導く人と代わりに働く人という分類はわかるが、それぞれの人により解釈の違いが出そうだ。「師」であるからこそ「士」もできるのではないか。否、マニュアル的「士」もありそうだ。いずれにしても様々な「師」や「士」の皆様にお世話になったこの一年があと十日ほどとなってしまった。感謝をこめて2013年「師・士」のベスト10を考えてみたい。そこには直接お会いすることの出来ない文字上での方も含めてである。そして少しでも「師・士」の皆さんに近づく努力をして行きたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64415830R21C13A2MM8000/