『九月一日、その日は一年のうちで子どもの自殺が最も多い日という』

<2016年8月24日(水)>
『九月一日、その日は一年のうちで子どもの自殺が最も多い日という』

 「秋は、根強い曲者(くせもの)である」と「筆洗」(東京新聞/16/8/24)は太宰治の言葉を借りてきた。そして、リオのオリンピックも終わり、着実に夏休みは終焉を迎える。宿題に苦しむの子どもには「がんばれよと声を掛けたくなる。宿題よりも深刻な問題がこの時期にもう一つある。九月一日である。その日は一年のうちで子どもの自殺が最も多い日という。秋が夏の間に忍びこむように子どもの心にも抱えきれぬ悲しみが侵入し、それが子どもを連れていってしまう。何としても食い止めたい。目を凝らす。耳を澄ます。声を掛ける。手で触る。どんな兆候も見逃すまい。これは重い重い大人の夏の宿題である」と。

 秋はもうやってきているのである。太宰の言う通り、暑さに紛れて我々を待ち構えている。自分の子どものころを想えば、8月も甲子園大会が終わり、二十日を過ぎると、やがてやって来る8月31日の恐怖を感じつつも明日があるの生活が続く。学校の枠にとらわれない自由な生活は、自己管理のできない者には大変な40日であった。でも、尊い大事な時間であった。尊い時間は、子供たちの心に様々な影響を与える。それは自分の小さな世界に重くのしかかり、解決ができないことがある。この小さな世界を簡単には広げられないから、大人のそれぞれの世界を分けて行かねばならない。8月31日の次に2学期が待っている。カレンダーを捲らなければ9月は見えないのだが、恐怖は着実に高まる。このカレンダーをめくる前に、大人は子どもと心を分け合おう。それは常日頃からだ。(JN)