『運行を優先させてしまった』

『運行を優先させてしまった』
 「『戦艦ポチョムキン』における『オデッサの階段』の落ちて行く乳母車に赤ちゃんは乗っていなかった」。「筆洗」(東京新聞/2016/4/6)は、東京メトロ半蔵門線九段下駅でのベビーカーの事故に物申す。「『運行を優先させてしまった』。その説明は日本語としては正しい。されど『優先』という言葉からは人に対する『優しさ』という文字が消えてないか。車掌も客も注意の目と耳と、いつでも差し出せる掌を用意したい。『車掌』の『掌』は人の手のひらである。」
 なぜ、車掌は「運行を優先させてしまった」のであろうか。もしものことよりも、運行が優先されるのか。これは、東京メトロの会社としての姿勢に問題があるのではないか。その車掌がそうしなければならなかったのには、その理由があろう。他社も含めて、何を優先するのか、考えて行動を指導願う。とにかく、事故と言うものは起きてしまうのであるから、それを如何に最小限の犠牲で済ますか、その優先は人の命からであり、経費損失ではない。これは天秤に掛けられないことである。(JN)