『心を未知の世界に誘う時刻表には、この先も残ってほしい・・・』

『心を未知の世界に誘う時刻表には、この先も残ってほしい気がする。』
 「時刻表が旅心をくすぐる存在である」と「春秋(日経/2015/12/25付)」は語る。そして、「仕事納めも迫り気ぜわしさがつのるなか、帰省やレジャーの準備が重なる。予定を立てようと手にするのは時刻表か、スマホか。検索ソフトはまず目的地の入力を求める。ふらりと旅をしたり、遠回りをしても立ち寄りたい場所を見つけたりするには、やや不向きだ。」「今夜じゅうに行ってこれる海はどこだろう/人の流れの中でそっと時刻表を見上げる」(中島みゆき)。
 就職したころの職場は、出張が多く、時刻表のお世話になった。あの中には、情報がたくさん詰まっている。あちらこちらのページに付箋をつけて、行き先までの列車を考えて行く。今ならば、出発地と目的地と時間を入力すれば、忽ちの内に行き方の情報が出てくるが、それでも、時刻表でその情報を辿ってみるのが楽しい。実際ではないが、その路線を辿って行くそのプロセスというものが大事なのである。その場に行くまでに頭の中で旅行をし、また帰ってきたらその旅行を繰り返す。行き先は仕事であっただけに、その途中を楽しむことようになったのであろうか。そういった計画的な旅とは別に、「時刻表」を片手にぶらりとどこか遠くへ行きたい。そこには、偶然の出会いがあるだろうか。(JN)