『物事は硬と軟があって豊かさを増す。』

『物事は硬と軟があって豊かさを増す。』
 「日本で野球が津々浦々(つづうらうら)まで普及し、国民的スポーツに発展したのも硬式と軟式の両方があってこそだ。」と毎日新聞「余録」(2015年08月26日)は語る。
 「日本では独自のゴム製ボールが開発されて、軟式野球という形も定着した。研究会の一員だった鈴鹿栄さんはある日、経営する文房具店の玄関先に脱ぎ捨てられたゴム靴の底を目にしてひらめいた。『このブツブツを滑り止めにすればいい』。2年がかりで工夫を重ね、表面に凹凸(おうとつ)をつけたゴムボールを完成させた。このボールを使った最初の野球大会が19年に京都市第二高等小学校の校庭で開かれた。ボールは大量生産されて全国に広まり、鈴鹿さんは2003年、軟式野球の世界から初めて野球殿堂入りした。全国高校軟式野球選手権は今年で60回。硬式大会の100年には及ばないものの、着実に歴史を刻んでいる。」
 日本が発明した軟式野球が、日本で野球が広まったその要因であろう。私事であるが、生まれてより軟式ボールとともに育った。常に身近にこのボールはあり、常に左に握らされていた。幼稚園のころよりキャッチボールを行い。小学校では軟式のチームがクラスで何となくでき、日曜日になると公園に集まり、試合を行っていた。軟式ボールは子どもでも購入でき、装備も硬式ほどいらない。軟式野球は、まさに身近なスポーツである。子どもだけではない、大学生になると近所の早起き野球で軟式野球をする。仕事に就いても、昼休みにキャッチボールができる、否、していた。テレビ等、表に出てくるのは硬式野球だが、軟式野球は我々のためのスポーツである。安全で、安価な軟式野球を海外に輸出すれば、世界は野球の虜になるに違いない。(JN)