『チャプリンは「暗黒の木曜日」の前年に持ち株を売却していた』

チャプリンは「暗黒の木曜日」の前年に持ち株を売却していた』
 中国での株価急落から、東京新聞「筆洗」(2015年8月26日)は、1929年の大恐慌チャップリンの行動を引合いに出し、彼は「社会の底辺に生きる人々を見据え、名画『街の灯』を撮る。そんな目を持っていたからこそ、希代の名優は経済の先行きを見抜けたのかもしれぬ」と述べている。
 「1929年10月23日、名優チャプリンは、音楽家バーリンが株で大もうけしていることを自慢すると、チャプリンは『1400万人も失業者がいるのに、どうして株など信じられるか』と冷や水をかけ、口論になった。翌日、バーリンの富は泡と消えた。今、中国での株価急落が、世界中を揺るがせている。考えてみれば、共産党政権という不透明きわまりない政府が透明性が求められる市場を操る不可思議。若者の就職難は深刻なのに、公表される統計からは把握しようもない実態。チャプリンに話を戻せば、彼は失業者の増加に注目し、「暗黒の木曜日」の前年に持ち株を売却していたそうだ。」
 資本は、人の心を見透かすように動き続ける。価値の変化には、根拠などいらない。きっかけを使って乱高下する。そのたびに、泡は膨らみまた弾け、私たちは大騒ぎし、無形の価値を失う。このために、弱き無産者は、街に投げ出される。私たちは、今、この世界におり、ここから逃れることができない。ちょっとした動きが大きな波を呼び、その波に飲み込まれてしまう。有形無形、価値が変化するこの世界を私たちはつくり、そして拡大を続けグローバル社会となり、コントロールできない状態になっている。さて、それでも一発株を当てようか、それとも黄金を探しに旅に出るか、いずれにせよ、靴のステーキを食べる羽目にはならぬようにしたい。(JN)