『自分の身の丈、日常から繰り返し問題を立てていく』

『自分の身の丈、日常から繰り返し問題を立てていく』
 本日の新聞の多くが鶴見俊輔さんの死を悼んでいる。毎日新聞「余録」(2015年07月25日)は、その鶴見さんの成長期における母親との葛藤について、「私は、自分の内部の不良少年に絶えず水をやって、枯死しないようにしている」という言葉で始めている。「母は『裕福な家に生まれた子は悪い人間になる』が信念としか思えず、鶴見さんは幼少期から『虐待』に近い異常なしつけを受けてきた。『母との体験は大切なことを教えてくれた。軍国主義が出てきた時はっきり分かった。道徳と正義と権力が一緒になってのしかかる怖さ。共産主義スターリンも同じだ』。鶴見さんは『自分の親指の物差し』を戦中派の財産だと語っている。指の幅で長さを測り、自分のこぶしで体積を見積もる。自分の身の丈、日常から繰り返し問題を立てていくのだという。『彼は知っている。しかし、自分が知っているということを知らない。彼を ゆりおこせ』」。
 昨年、「春秋」から鶴見さんの言葉を2度ほどいただいた。2014/6/11付、「ナマコのようによたよたしながらでも理想を立てていたい」。2014/12/3付、「私は、自分の内部の不良少年に絶えず水をやって、枯死しないようにしている」。「日本の国について、その困ったところをはっきり見る。そのことをはっきり書いてゆく。しかし、日本と日本人を自分の所属とすることを続ける」。これについて、残念ながら当方のような凡人は、未だに理解できずにいる。身の丈がわからな。ナマコの動きもできない身勝手な理想をぼんやり持ち、不良することを恐がり、事実を直視できない。それなのに、平気でわかった様な事を言ったり、戦いを挑んだり、無駄遣いをする。少しでも身の丈を識るために、少しは努力したい。まずは親指を睨みながら、先生の言葉を繰り返してみます。ご冥福を祈ります。