世のなかに美しいものが2つある。天にオーロラ、地に噴火

世のなかに美しいものが2つある。天にオーロラ、地に噴火
 口永良部の噴火より、火山学者の下鶴大輔さんを想い、また、この国に生きる宿命を改めて思う日経「春秋」(2015/6/2付)。「昨年亡くなった火山学者の下鶴大輔さんは「ミスター予知連」の異名をとった。12年間にわたる火山噴火予知連絡会の会長時代、三宅島、三原山普賢岳と、大噴火に相次いで直面する。「いつ噴火するのか」と同じように、「噴火は収まったか」の見極めも容易ではなかろう。先月末に爆発的噴火が起きた口永良部島では、島外に避難した住民の代表や自治体職員ら約30人がきのう、一時的に島に戻った。この先、避難生活がいつまで続くか分からない。島に残された家畜や農作物の世話など、心配ごとは尽きないだろう。安全を確保したうえで、再び一時帰島を検討するといった手立てを考えていきたい。「世のなかに美しいものが2つある。天にオーロラ、地に噴火」。火山の恐ろしさを熟知する下鶴さんはまた、こうも語っていた。火山に限らず、私たちは荒ぶる自然の猛威におののきながら、その一方で自然の恵みを受けて暮らしてきた。山が収まることを願い、この国に生きる宿命を改めて思う口永良部の噴火である。」
 私たちは、安定したところで、ゆっくり暮らすことのできない住民である。地面は揺れ、山は爆発し、津波は押し寄せ、雪は降り猛暑熱波になり、台風は暴れまくり、豪雨で河川は氾濫し、崖は崩れ、・・・・・。予測も随分と当たるようになったが、予測しても対応が追いつかない。とにかく、私たちはこれらの自然の力を抑え込むことはできない。暴れるぞ、と分かった時にどのように対応するのか、逃げ場所を確保するのか。これだけの技術発展がありながら、なぜに毎年、被害が発生するのか。その陰には、利益重視のなにかがあろう。自然を上手に扱う上で、重視すべきことを間違えると、被害が出る。せっかくの自然の恩恵を活かすためにも、人災を無くすことである。そうすれば、予測も活かされる。そう考え、まずは新岳の美しき勢い治まるのを願う。