日本から消えつつある喫茶店文化が海の向こうで進化した

(日経「春秋」2015/2/12付) 運河が縦横に走る東京の下町、深川近くの一角に若者たちが押し寄せている。米国で人気のコーヒー店が先週、日本1号店を開店したためだ。古い倉庫を改造した店内は工場を兼ねる。焙煎(ばいせん)したての豆を使い、1杯ずつ手で淹(い)れるのがこのチェーンの特徴だ。どんどん客をさばけない理由もそこにある。時間が貴重品であるはずのIT(情報技術)分野で働く人々が支持しているそうだ。このコーヒー店、「創業した米国人は、店づくりのヒントを日本の喫茶店から学んだ」と聞く。豆をきちんと選び、手間をかけて焙煎し、客の前で丁寧に供する。日本から消えつつある喫茶店文化が海の向こうで進化したわけだ。この店の海外進出を支えたのは、シリコンバレーベンチャー企業を育ててきた投資家たちだという。流れに逆張りする起業家。自らの舌を信じ未来に賭ける投資家。カップの向こうに米国のたくましさを感じる。
(JN) 珈琲のあおの香り、それだけで幸せになるというのは大袈裟だが、ゆっくりと香り味わいを楽しみたいのは、忙しない世の中であればこそ大事な時間になる。その昔は、大きなカップアメリカンコーヒーをガブガブ飲みながら、論を闘わせるてもいたが、今は、家庭でも職場でも、自分でじっくり香りを楽しみながら点てるのが醍醐味でもある。また、皆さんどうであるかわからないが、喫茶店は、一人の時間を楽しむ一時でもある。楽しみ方は様々、一人を楽しむ店もあれば、仲間が集まってくる店もある。喫茶店文化は変わろうとも、チェーン店も多くなるであろうが、いつまでも私たちを迎える店が長く続いて欲しい。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83078080S5A210C1MM8000/