年寄りにやさしい仕組みこそが、すべての人にやさしい仕組み

(日経「春秋」2015/2/6付) 高速道路でおじいさんが車を走らせている。するとカーラジオから「高速を逆方向へ走っている車が1台あります。気をつけてください」とお知らせが流れてきた。周りを見渡して、おじいさんが驚く。「なんや1台どころじゃないで。全部こっち向いて走ってるがな」。桂文珍さんの高座で聞いた笑い話である。逆走は、昨年1年間に高速道路では計224件確認されている。このうち12%のドライバーは認知症だったという。しかし、残りが9割近くある。普通に運転していても逆走につながる恐れがあるとすれば、それは道路の構造などハード面の問題ということにならないか。商品のラベルに印刷された注意書きは、字が小さすぎて読めない。「こちら側のどこからでも切れます」と書かれた小袋は、指先に力が入らずどこからも切れない。お年寄りにやさしい仕組みこそが、すべての人にやさしい仕組みのはずだが、社会はまだそうはなっていない。だれだって皆、必ず高齢者になるはずなのに。
(JN) 使う人の身になって作ったり対応したりことは、当り前であろうが、そうでもなくこちら側の都合でやっていることも多々ある。安全に作成されており、分かるように説明書きもいっぱい書いてある。若くて優秀な人であれば、小さな字でいっぱい書かれた文章を読解できようが、字が小さいとか、文字がいっぱい、これでもう戦意喪失となる。今後、日本の政府が無策を続ければ、日本に住む人々は高齢者だらけになり、それに従って認知症も増えるであろう。従って、私たちそれぞれが、お互いを意識して過ごしやすい環境を作って行きたい。弱い者を助け合って行く精神を私たちは、再度、考え直さねばならない。今は自由な心身、何れは不自由になる。その不自由同士が助けあえる社会は、どんな社会であろうか。まずは、身近なところから年寄りを大切にしることから始めたい。列車内で確保した座席をまずは譲る心を身に着けよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82882130W5A200C1MM8000/