（日経「春秋」2015/2/5付） 悪逆無道。鬼畜の所業。かの「イスラム国」が、拘束していたヨルダン人パイロット殺害の一部始終をインターネット上で公開した。こんどはあろうことか、焼殺である。心に憎悪と恐怖を募らせ、世界を報復の連鎖に引きずり込むプロパガンダだ。テロ組織のねらい定めたところだろう。「相手が用意した劇場から出なければいけない」と山田英雄・元警察庁長官が本紙で語っている。狂信者が勝手にこしらえた芝居小屋で高ぶるばかりでは連中の思うつぼ。ネット空間には勇ましい極論があふれているが、いま必要なのは冷静さだ。その仕掛けに乗るべきではない。悪逆無道。鬼畜の所業。投げつけたい言葉を胸に、しばし深呼吸をしてみる。
（ＪＮ） 復讐を思う心を押さえろと言われても、特にその被害者の身近な者たちには、その怒りをどうすれば良いのであろうか。第三者は、冷静にと言えるだろうが、そうはいかない。その心をどのように自分でコントロールをすればよいのだろう。当方がその立場であったら、どうしたろう。無責任に、安易なことが言えない。でも、とにかく、暴力による報復を望んではならない。我慢できないこの心を、多くの人たちに伝えることをすることで、少しでも人々にこういうことがってはならないと伝わるだろうか。皆でこの怒りを苦しさを共有し、そのエネルギーを世の中の歪みが少しでも直るように、力を持って行くことである。冷静にはなれないが、過激な行動はとらない。それは、暴力的な言葉も発せずであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82825390V00C15A2MM8000/
