石炭火力捨てる選択肢はない

(日経「社説」2013/1/31付) 原子力発電をめぐる論争の陰に隠れて目立たないが、石炭火力発電についても推進派と慎重派の隔たりが大きくなってきた。慎重派の筆頭格は地球温暖化防止の旗を振る環境省だ。一方、経済界の多くや電力業界は濃淡はあっても推進の立場だ。石炭は化石燃料の中で最も安い。産地が世界全体に広がる石炭は中東に偏る石油などに比べて政治リスクの影響を受けにくく、安定調達しやすいのも魅力だ。東日本大震災以降の電力の供給不安を考えれば、現時点で「石炭火力を捨てる」という選択肢はおよそ現実的ではない。多様な電源の組み合わせこそ安定供給に不可欠であり、天然ガスだけでなく石炭は引き続き重要な燃料だ。日本はCO2排出の少ない「クリーンコール(きれいな石炭)」発電技術に強いが、さらに改善する余地はある。環境技術を世界に誇る日本として、安ければ環境配慮は二の次というわけにはいかない。石炭火力の活用とCO2の抑制の両立をめざして、技術開発を加速したい。
(JN) アルジェリアでの惨事が起きたばかりであるので、その資源開発に係るリスクというものを思わないではいられない。日本では燃料資源が乏しい。それをどのように確保して行くのか。多様な方法を取っていくことであり、その一つが石炭資源であろう。日本の技術に効率的でクリーンな石炭発電を期待したい。もう、日本の空を灰色にはしたくない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51186400R30C13A1EA1000/