その両国が国交回復の交渉を始めると発表した

(日経「春秋」2014/12/19付) 「人間、ぶちのめされたって負けることはねえ」、ヘミングウェイの「老人と海」の主人公の独白。この一節を、キューバフィデル・カストロ国家評議会議長は「国の歴史を貫く鬨(とき)の声だ」と受けとめ、集会や行進のスローガンにしたという。社会主義革命が1959年。米国との断交は61年。キューバに22年も住んだヘミングウェイが故国米国で自殺したのも、同じ61年だった。以来半世紀、キューバは米国にとって「裏庭のたんこぶ」であり続けきたが、その両国が国交回復の交渉を始めると発表した。世界はおおむね歓迎している。前議長はヘミングウェイが好きで、なかでも「老人と海」の老漁師の独白にひかれていた。「負けることはねえ」とつぶやいた老人は、続けて独りごちる。「このまま進めばいい。来るものが来たら、そのときのことだ」。外交にもそうした楽観が必要なこともある。
(JN) 米国は、あちらこちらを配下において、強大な国家になって行った。そんな力を伸ばしている時期に、急場は反骨の精神を翻し、革命を起こして、常に米国の喉元を脅かしていた。それも、フィデル・カストロ国家評議会議長の力が大きかったのか、今や、その弟が資本主義と握手をしようとしているのか。いつまでもキューバと米国との間の海は、緊張が続くのか、キューバの老人たちの力の衰えとともに、大きな商品の流れに変わって行くのであろう。もう直ぐ、キューバは巨大な商人のかたまりに呑み込まれていくのであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81097060Z11C14A2MM8000/