ふたを開けてみると物足りない気分も覚える改造

(日経「春秋」2014/9/4付) 2012年12月26日に発足してから617日。今の憲法の下では最長の記録だという。首相はじめ閣僚たちの努力のたまものか。はたまた、野党があまりにだらしない、というべきか。閣僚の交代というと、見苦しい事情による例が近年は少なくなかった。第1次安倍内閣でも不祥事に起因する閣僚の入れ替えが相次いだ。その反省を踏まえ、第2次安倍内閣の閣僚たちは防御能力を高めてきたのかもしれない。戦前には、もっと長く閣僚が固定していることもあった。1898年11月に発足した第2次山県有朋内閣は、2年近く後に総辞職するまで。第2次桂太郎内閣では1908年7月の発足まもなく外相が代わったが、その後はほぼ3年にわたって同じ顔ぶれだった。第2次山県内閣で焦点の一つとなったのは、日清戦争で悪化した財政を立て直すための増税だった。第2次桂内閣では、減税が焦点となった。そして第2次安倍内閣は、消費税率を再び上げるかどうかを問われている。ふたを開けてみると物足りない気分も覚える改造と自民党役員人事だったが、待ち受ける仕事は重い。
(JN) 内閣だけでなく、組織は長生きさせて目標達成をしていきたいが、これが目的達成に為ではなく、自分たちの組織を守ることが主役になってしまう。そして、最後はこの組織を犠牲にして、次に生き延びる策を実行し、当初の目標は忘れられてしまう。ただし、組織を守ることへの労力が少なければ、目標達成への努力が重点化される。従って、今回の政権も、野党勢力は心配ないわけだから、内部崩壊しないように人選がされていれば、当分、この内閣は大丈夫なのだろう。それでいいのかは別として、リップサービスではない、中身のある経済政策を実行してください。頑張ってください。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO76591790U4A900C1MM8000/