欧米メディアが伝える「安倍政権の素顔」が発足してから何も変わって

(日経「春秋」2014/1/28付) 「日本の危険な内閣」。「新内閣を保守と評したところで本質はとらえられない。急進的ナショナリスト内閣である」。欧米メディアの目のつけどころがよくわかった。「平和憲法の改定を目指すタカ派新政権」そんな「日本を見る目」をあらためて感じたのが、いまの日中関係を100年前に第1次世界大戦を当事国として戦った英独の関係に例えたという安倍首相発言への反応である。日本の側は「お互い経済で依存していた英独間に戦争が起きたことを引きあいに出して、日中間の衝突は絶対あってはならないと強調したのだ」と。欧米メディアが伝える「安倍政権の素顔」が発足してから何も変わっていないことの方である。どの新聞社やテレビ、通信社も国外のできごとを追う記者は少ない。その分、担当の国を大づかみにしツボを外さず報じようと心がける。そこに誤解がまじったとしても、彼らが政権に嗅ぎとる「危険」の臭いが消し去れるのかどうか。この際、同業へのひいき目は抜きにして、彼らのハナは侮れぬ。甘くみない方がいい。
(JN) 外にいる者から見た方が中にいる者よりも冷静に観察できる。我々は小さなことやどうでもいいことまで喰いついてしまう。その点、海外メディア、特にヨーロッパ当たりのメディアは、わが日本国の問題点の的を突いてくるのであるが、やはり自国のメディアに確りと情報や様々な解釈を伝えてもらいたい。それを自分たちで考えていく能力をつけなければならない。まずはできるだけ多くの大衆が関心を持ち、偏った考えを持たないような環境をメディアがつくれないものか。とにかく、どこかの与党の方が安倍さんの周りには普通の人がいないような表現をしていたが、この普通でない状況を、もっと一般大衆に理解できるように歴史認識から優しく伝えるべきである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65969990Y4A120C1MM8000/