「失われた町」

(日経「春秋」2014/5/17付) 町が突然、消滅した。一体、何が起きたのか。理由は分からない。爆音も振動もなく住民数万人が消えた。人がいた痕跡も残っていない。初めから町はなかった。政府は町の名を抹消し思い出に浸ることを禁じる。地図の空白は広がっていく。むろん現実の話ではない。小説(三崎亜記「失われた町」)が描いた寒々しい光景。空想とばかり笑ってはいられない。約30年後には日本の市区町村の半数、約900自治体が消える恐れがあるそうだ。子どもを産む女性が減り、人口が減少。地方から大都市への人口流出が進んで福祉、教育などの役目を維持できない自治体が増えるという。人口流出を止める即効薬はないが、とにかく行動を起こさなければ、消える町が増え始める。
(JN) 若者が少ない、その少ない若者が都心へ、そこには年寄りでけになれば、子どもが生まれることはなく、死を待つ者だけ。村や町から、若者が出て行くのは、理由があるからであろう。若者は、新しい世界を求めて動いていくが、年寄りは変化を受け入れることができないので、外へ出ていくことは難しい。そんな日本自体がやがて少ない若者たちに捨てられ、消えていくのであろうか。それはそれど良いという考えもあるが、今ここで生きてい私たちとしては、日本が失われるなんてことを許してはならないのではないか。国から地方まで、年寄りが操るこの国家を救うには、若者が立法や行政をリードするようにならないと、この日本は消えていく。それを今の若者が自覚しているであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO71361710X10C14A5MM8000/